万年筆の用語リスト
海外で使われている万年筆関連の用語を掲載するページです。
実際に海外フォーラムや掲示板を閲覧するときの参考になればと考えて作成しました。
英語でも検索できるように併記しています。
ブランド名や製品名などの固有名詞、カタカナ表記だと変な感じなりそうな略語などは英数字のほうに入れています。
随時、加筆修正します。
ここに掲載している単語の意味が正しいとは限りません。
意味が曖昧だったり、人によって解釈が違ったりする用語もあるということを念頭に置いてください。
あ
アイドロッパー、eye dropper
シリンジ(注射器、スポイトなど)を使ってインクを直接軸に補充する方式のことです。万年筆の軸をコンバーターやカートリッジ代わりに使っているようなものです。
アイドロッパーはこれらの方式よりも非常に多くのインクを入れることができます。
アーキテクトニブ、architect nib、architect's italic
アーキテクトニブ(architect nib)は横の線が太く、縦の線は細くなるニブのことです。イタリックニブ、スタブニブと似ていますが、ニブの形状は異なっています。
一般的な筆記には向いていないニブです。建築の設計図、特定の文字や書体に使われているようです。
このニブの由来は分かっていないようです。
イタリックニブ、italic nib
イタリックニブはペン先が通常の字幅よりも幅広になっているもののことです。表記は1.1イタリック、イタリック1.0などで、数字は幅(単位はmm、ミリメートル)を表しています。
このニブでは縦の線は太くなり、横の線は細くなります。
カリグラフィー向けで、普段使いには向いていません。
また筆記時の角度に非常にうるさいので慣れるまでは大変と言われています。
同じようなニブにスタブニブ(stub nib)があります。こちらは普段使いがしやすいように若干丸みを帯びた作りになっています。
ちなみに線の変化、バリエーションの豊かさはこのようになっているそうです。
通常のニブ < Stub < Cursive Italic < Crisp Italic < Italic
ときどきCI nibと書かれていることがありますが、これはCursive ItalicかCrisp Italicの略と思われます。
インク止め式、ジャパニーズアイドロッパー、japanese eyedropper
ジャパニーズアイドロッパーは「インク止め式」のことです。海外ではこのような名称で呼ばれています。また、機構そのものだけではなく、日本のブランドが作ったものでなければジャパニーズアイドロッパーとは言えないという方もいます。尻軸を回して、軸内部にある「インクの流れを堰き止めている棒」を少しだけ外すことで書けるようになります。
インクマイザー、inkmiser
インクマイザーは、三角コーンを逆さまにしたような容器です。これに移し替えることで楽にインクを補充することができます。蓋はついていないので、インクを保存するための容器としては使えません。
インクボトルに装着して、インクリザーバーとして使うタイプも販売されています。
ウエスタンニブ、Western nib
ウエスタンニブは西洋万年筆(Parker、Kaweco、Pelikanなど)の字幅のこと指します。基本的に日本の万年筆の字幅よりも太めに作られています。(日本の万年筆はジャパニーズニブと言われています。)
なので同じF(細字)であってもウエスタンニブのほうが線は太くなります。
このような差が出ている理由は、ローマ字よりも日本語のほうが文字が密集しているからだと言われています。
ただし、同じアジア圏、漢字圏で作られている万年筆だからといってジャパニーズニブが採用されているわけではありません。
Twsbiは台湾のブランドですが、日本の万年筆よりも字幅は太めです。
日本の万年筆以外はウエスタンニブだと言っても過言ではないと思います。
ウェットインク、wet ink
一般的にインクの乾きが遅く、インクフローが滑らかで、粘度が低いインクを指します。たくさんインクが出るので滲みと裏抜けが起こりやすいです。またシェーディングも発生しやすいです。
染料インクはウェットの傾向があるとも言われています。
ただしこれらは一概に言えるものではありません。この用語は非常に曖昧なものだということを念頭に置いてください。
詳しくはこちら(「Dry(ドライ)」「Wet(ウェット)」について )をご覧ください。
ウェットペン、wet pen
一般的にインクフローが多い万年筆のことを指します。たくさんインクが出るので筆跡は太めになります。
ただしこれらは一概に言えるものではありません。この用語は非常に曖昧なものだということを念頭に置いてください。
詳しくはこちら(「Dry(ドライ)」「Wet(ウェット)」について )をご覧ください。
ゴースティング、ghosting
ghostingは、書いた文字が紙の裏側から透けて見えてしまうことです。show through、see throughという言い方も多いので、特にニュアンスの違いや使い分けはないようです。echoという表現もあるそうですが、管理人は一度も見たことがないです。
ゴースティングの度合いは使用する万年筆、インク、紙質によって変わります。
注意点として、紙の裏側への影響はこのようになります。
裏抜け(bleed through)> ゴースティング(ghosting)
裏抜け、ブリードスルー、bleed through
bleed throughは裏抜けのことです。(インクが紙の裏側まで染み込んでしまうことです。)裏抜け具合は使用する万年筆、インク、紙質によって変わります。
bleedingとも言いますが、あまり見かけません。
注意点として、紙の裏側への影響はこのようになります。
裏抜け(bleed through)> ゴースティング(ghosting)
オブリーク、oblique
画像のようにペン先を斜めに切ったような形をしているもののことを指します。(水平に切られたスタブのようなものもあるようです。)カリグラフィー向けや左利き用に作られたとも、捻るように文字を書く癖のある人向けに作られたとも言われています。
由来は諸説あり、どれが正しいのか、どれも正しいのか、詳しいことは不明です。
現在は見る機会が少なくなったニブです。
カリグラフィー用のペンホルダーとしてオブリークホルダーというものもあります。下記をご覧ください。
オブリークホルダー、oblique holder
飛びてている部分にニブを装着して使用します。
か
カートリッジ/コンバーター、cartridge/converter、c/c
万年筆のインク補充方式のことを指します。主に、カートリッジとコンバーターの両方が使える場合に用いる言葉です。
海外の掲示板ではc/cと略されることが多いです。
例:「Pelikan M400はc/cではなくピストン式です」
掠れ、スキップ、skip、skipping
文字が掠れてしまうことです。主な原因はインクが正常に流れないことです。このことからハードスタートとも関連があります。
現象の度合いは使用する万年筆、インク、紙質、そしてユーザーの書き方に左右されます。
さ
シェーディング、shade、shading
筆跡の一部にインク溜まりが出来て、乾いたときに薄い部分と濃い部分が作られることです。文字の下側や面積が大きい部分が濃くなりやすいと言われています。
オレンジ系とブルー系のインクはシェーディングが起きやすく、ブラック系は起こりにくい傾向です。
濃淡の出方は使用する万年筆、インク、紙質に大きく左右されます。
詳しくはこちら(インクの「Shade」「Sheen」「Shimmer」について)をご覧ください。
シーニング、sheen、sheening
筆跡の一部にインク溜まりが出来て、乾いたときに光沢が出来ることです。下の項目にある「シマーリング」とは似ていますが別物です。金属的な光り方をするものが多く、角度によって見えたり見えなかったりします。
シーニングは特定のインクで発生します。一部のインクはシマーリングの性質も持っています。
光沢の出方は使用する万年筆、インク、紙質に大きく左右されます。
詳しくはこちら(インクの「Shade」「Sheen」「Shimmer」について)をご覧ください。
シマーリング、shimmer、shimmering
インクにラメが入っていて、筆跡全体がキラキラ光って見えることです。上の項目にある「シーニング」とは似ていますが別物です。このラメが目詰まりを起こす可能性があるので注意が必要です。ちなみにメンテナンスはとても面倒臭いです。
ラメ入りのインクの中にはシーニングの性質を持つものもあります。
使用する万年筆、インク、紙質にあまり左右されない現象です。
詳しくはこちら(インクの「Shade」「Sheen」「Shimmer」について)をご覧ください。
ジャパニーズニブ、Japanise nib
ジャパニーズニブは日本の万年筆(パイロット、セーラー、プラチナなど)の字幅のこと指します。基本的に日本の万年筆の字幅は、西洋万年筆の字幅よりも細めに作られています。(西洋万年筆はウエスタンニブと言われています。)
なので同じF(細字)であってもジャパニーズニブのほうが線は細くなります。
このような差が出ている理由は、ローマ字よりも日本語のほうが文字が密集しているからだと言われています。
ただし、同じアジア圏、漢字圏で作られている万年筆だからといってジャパニーズニブが採用されているわけではありません。
Twsbiは台湾のブランドですが、日本の万年筆よりも字幅は太めです。
日本の万年筆はほぼジャパニーズニブを採用していると思います。
シリンジ、syringe
シリンジ(注射器、スポイトなど)は、万年筆のインクを補充する際に役立ちます。ボトルの中のインクが減っている場合、ニブが液体まで届きにくくなります。しかし、そこでシリンジを使うことによって、インクを楽に無駄なく吸い出すことが可能になります。また、補充の際のリスク軽減にも繋がりますし、インクを最後の一滴まで吸い出せるようにもなります。
吸い出したインクは別の容器に移してから、いつも通りコンバーターで補充する、もしくはニブから外したコンバーターに直接注入するといいでしょう。
※アイドロッパー式の万年筆では必須アイテムと言っても過言ではありません。
シンギング、singing、squeak、harmonic vibration
シンギングは筆記時にニブから「きーきー、きゅいきゅい」と音が鳴ることです。原因は、ニブと紙の摩擦によって発生する共鳴(共振)にあります。この振動によって、ニブからインクがスプレーのように吹き出たり、周囲にまき散らされる可能性があります。
ただし、この現象はそうそう起きるものではありませんし、簡単に起こせるものでもありません。一部の万年筆では発生しやすいようですが、あまり気にするものでもないと思われます。
スイートスポット、sweet spot
書き心地はペンポイント(ニブの先端)の形状や筆記時の角度などによって大きく左右されます。その中でも一番気持ちよく書ける部分を指します。スイートスポットに当たる部分で文字を書くと、インクが潤滑剤になっているかのような、ヌルヌルとした感覚が味わえます。(人によって感じ方、表現の仕方は違います。)
スイートスポットではない部分であっても、長い間使うことで徐々に金属が摩耗していって、その人の書き癖に合うようになることもあります。
ニブの調整でもスイートスポットを作り出すことができます。
スタブニブ、stub nib
スタブニブはペン先が通常の字幅よりも幅広になっているもののことです。表記はスタブ1.1、1.0スタブなどで、数字は幅(単位はmm、ミリメートル)を表しています。
このニブでは縦の線は太くなり、横の線は細くなります。
カリグラフィー向けですが、イタリックニブと違って普段使いもしやすいように若干丸みを帯びています。
管理人が確認できたサイズは2.0まででした。
スタブニブはイタリックニブの一つとして数えられているようです。
なので正式名称はスタブイタリック(stub italic)というようです。
ただ明確に区別するために「スタブ」という名称が使われているようです。
ちなみに線の変化、バリエーションの豊かさはこのようになっているそうです。
通常のニブ < Stub < Cursive Italic < Crisp Italic < Italic
ソフトニブ、soft nib
ソフトニブは普通のニブより柔らかく、弾力のあるものを指します。日本語だと軟調、ソフト調という表現になると思われます。
ソフトニブは筆記時の筆圧を吸収したり、弾力を作り出すことで多少の強弱がある筆跡を作りやすい、線に若干のバリエーションを出せる、という特徴を持っています。基本的にニブの挙動は縦に撓り、ほんの少しだけひづめのように割れます(一応、普通のニブでもやろうと思えばできますが、壊してしまう可能性が非常に高いです。またソフトニブでもやりすぎると壊れてしまいます)。
日本の万年筆でソフトニブに該当するのは、パイロット、プラチナのS系ニブ(SEF、SF、SMなど)でしょう。
注意すべき点は、万年筆によってソフトニブの挙動の度合いが異なるということです。
例えば、パイロットエラボーはソフトニブと言えますが、上記で挙げた万年筆以上に撓るという特徴を持っています。
これをバネのようなもの、つまりスプリングリィニブ(springy nib)と表現する方もいます。(といってもこの表現を目にする機会は少ないです。)
そして、ソフトニブとは比べ物にならないくらい、段違いにニブが割れるもののことをフレックスニブ(flex nib)と言います。
先ほどのエラボーはソフトニブ以上に割れますが、「フレックスニブほどの開き方はしないと思うからセミフレックスだ」という方もいます。
ただ、ソフトニブという枠組みの中にフレックスニブやスプリングリィニブなどが入っているのかどうかは分かりません。
それぞれ似て非なるもの、別の性質と捉えたほうがいいと思います。
また、書き味の表現で使われる「柔らかい」「弾力がある」などの言葉が、「ソフトニブとしての柔らかさ」を指しているのか「普通のニブの中では柔らかいほう」ということを指しているのかは、その時々によって、そして人によって違います。
それこそフレックスもソフトも関係なく軟調と言う事も可能です。(実際にsoft=flexとして使う方もいます。)
これらは個人個人の解釈によって差があること、どこからどこまでをフレックスと定義するかが非常に難しいこと、非常に専門的な話になることを念頭に置いてください。
た
手の油、汗、皮脂、oily hand
手の油、汗などの皮脂がついたところはインクののりが悪くなります。基本的にインクの成分はほぼ水なので、油に触れると弾かれてしまいます。
これを避けるために、紙と手の間に何かを挟むという方は多いです。
この現象は使用する万年筆のニブ、インク、紙質、そしてその人の体質に左右されます。
全く問題が起きない場合もあれば、あまり気にならない場合もありますし、酷い有様になる場合もあります。
ドライインク、dry ink
一般的にインクの乾きが早めで、インクフローが渋く、粘度が高いインクを指します。フローが渋いので、滲みと裏抜けが起こるほどインクが出てくることはありません。逆にシェーディングは発生しにくいです。
顔料インクはドライの傾向があるとも言われています。
ただしこれらは一概に言えるものではありません。この用語は非常に曖昧なものだということを念頭に置いてください。
詳しくはこちら(「Dry(ドライ)」「Wet(ウェット)」について )をご覧ください。
ドライペン、dry pen
一般的にインクフローが渋い万年筆のことを指します。あまりインクが出てこないので筆跡は細めになります。
ただしこれらは一概に言えるものではありません。この用語は非常に曖昧なものだということを念頭に置いてください。
詳しくはこちら(「Dry(ドライ)」「Wet(ウェット)」について )をご覧ください。
な
ナミキ、Namiki
ナミキはパイロットが出している高級ブランドです。名前はパイロットの前身である1918年創業の並木製作所に由来しています。
少し前まではパイロットの海外向けブランドとしても使われていました。
由来こそ違いますが、車でいうとトヨタとレクサスの関係に近いと思います。
ちなみに1930年頃はダンヒルナミキ(Dunhill Namiki)という名前で漆や蒔絵を施した製品を海外で販売していました。
詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
パイロット公式ページ:http://www.pilot-namiki.com/jp/about/history.html
ニードルポイント、needlepoint
字幅が極細よりも細いのものをニードルポイントと言います。基本的に個人や調整師によって作られていますが、セーラーの細美研ぎはニードルポイントに含まれているようです。
極細よりも細いものを求める方は少ないので、ニードルポイントという言葉を見かけることは少ないです。
は
ハードスタート、hard start
ハードスタートは二つの使われ方をしている言葉です。一つは、何らかの原因でニブが変形してフローが悪くなり、書きだしからインクが出てこないことを指します。
もう一つは、書きだしや線の一部が掠れやすいペンのことを指して使われます。
ハードスタートは洗浄やメンテナンスで和らぐことがあります。ただしニブに異常がある場合は専門家に調整を行ってもらってください。自分で調整する方法もありますが、ニブを痛める可能性が高いので掲載しません。
使用する万年筆、インク、紙質、そしてユーザーの書き方によって発生したりしなかったりする現象でもあるので、慌てずに対処してください。
バーピング、burp、burping
バーピングはインクがニブからドバッと出てくることを指します。ボタ落ちと言われています。特にアイドロッパー式を採用した初期頃の万年筆では、中のインクが空になる直前に勢いよく流れ出てくることがあります(インク止め式は起きにくいと言われています)。
原因は様々で、インクが過剰に供給されてしまうこと、万年筆の内部に小さな穴や隙間が出来てしまうこと、インクが減ってくると内部の空気の割合が多くなることなどが挙げられます。
対策としては、使用するインクを変えてみること、インクが半分以下にならないように補充しておくこと、逆にインクを入れすぎないこと、などです。
原因でもあり対策であるものとして「手の温かさや気温(室温)のせいで内部の空気が膨張するからバーピングが起きる」「軸を手で温めることでバーピングが起きなくなる」というものもあります。
ただ、具体的な解決策というのはなかなかないようで、「なんかこうしたら解決した」という程度のものが多いのが実情です。これは万年筆の個体差や、ユーザーの使用環境によって左右されるためだと思われます。
また、バーピングはgushing、drippy nose、runny noseとも言われています。
バニシングポイント、Vanishing Point、VP、VPs
パイロットキャップレスの海外での名称です。VPと略されますが、Parker VPというヴィンテージペンもあるので混同しないように注意してください。
基本的にはVP=キャップレスで問題ないと思います。
フィードバック、feedback
フィードバックは書き味や書き心地を表すときに使われる言葉です。意味は「Scratchy(スクラッチィ)」と似ていますが、若干違います。(「Scratchy」は紙を削るくらい、もしくは針で引っかいているかのような感覚のことを指します。)
フィードバックの意味は、書いてる感覚が手に伝わってくる、程度です。つまり「Scratchy」ほど露骨な感覚ではないということになります。また、フィードバックは鉛筆で書いている感じ、Scratchyは針で書いているような感じと言われることもあります。
これらは人によって意味が変わる言葉です。とある方がフィードバックがあると評価した万年筆であっても、他の方にはScratchyと言えるものということも十分ありえますし、フィードバック=スクラッチィとする方もいます。
フーデッドニブ、hooded、hooded nib
ニブが首軸にフードのように覆われているもののことです(フードの大きさは様々です)。フーデッドニブで有名なのはParker 51です。このフードは使用中ペン先のインクが乾かないようにするため、もしくは少しでも乾燥しないようにするためのものです。
Parker 51が発売されたのは八十年ほど前になりますが、フードつきの万年筆自体は今でも様々なブランドから販売されています。
フランケンペン、franken pen
複数の万年筆の部品(ニブ、軸など)を組み合わせて一つにしたものことです。プラモデルや自動車のレストアでいうところのニコイチとほぼ同じ意味です。
フランケンシュタインのように色々なパーツを組み合わせていることからフランケンペンと呼んでいるようです。
フリクションフィット、friction fit
friction fit(フリクションフィット)は、首軸にニブとペン芯を挿し込んで(押し込んで)装着する方式のことです。付けはずしが非常に楽で、ワンタッチに近い感覚で行えます。
国内外を問わず、ほとんどのブランドがこの方式を採用しています。ただし、ヴィンテージを含む一部の万年筆はscrew-in nib(ネジ式)を採用している場合があります。
フレックスニブ、flex nib
フレックスニブはソフトニブよりも柔らかいニブのことを指します。筆圧をかけるとニブがひづめのように広がったり、縦に撓ったりするという特徴があります。
ソフトニブ以上に筆圧が筆跡に反映されやすいです。
日本の万年筆でフレックスニブに該当するのはパイロットのFA(フォルカン)ニブとエラボー(賛否があります)でしょう。FAはパイロット公式での紹介で「超ソフト調、毛筆の筆跡」という表現になっています。
表現に関しては、日本語だと「フレックスする」という言い方もちらほら見かけます。(管理人も「フレックスする、しない」と言っています。)
特にフレックスするものはウェットヌードル(wet noodle)やスーパーフレックス(super flex)と呼ばれます。
この手のニブは扱いが難しく、慣れないと壊してしまう可能性があります(もちろん、現代のフレックスニブであっても、やりすぎると壊れます)。
さらにヴィンテージのフレックスニブは異常なほど柔らかい上に希少価値が高いので、慣れないうちから手を出すのは避けたほうがいいでしょう。当たり外れも結構あります。
ちなみにソフトニブより柔らかくてもフレックスニブほどではないもののことをセミフレックスと言ったりもします。
書き味の表現で使われる「柔らかい」「弾力がある」などの言葉が、「フレックスニブとしての柔らかさ」を指しているのか「普通のニブの中では、もしくはソフトニブの中では柔らかいほう」ということを指しているのかは、その時々によって、そして人によって違います。
それこそフレックスもソフトも関係なく軟調と言う事も可能です。(実際にsoft=flexとして使う方もいます。)
これらは個人個人の解釈によって差があること、どこからどこまでをフレックスと定義するかが非常に難しいこと、非常に専門的な話になることを念頭に置いてください。
(※特に「ヴィンテージのフレックスこそが真のフレックスであり、現代のフレックスはフレックスとはいえない」という方もいます。)
ベイビーズボトム、baby's bottom、baby bottom
筆記時に紙と接するペンポイント(ニブの先端)が、上の画像のようにあまりにも丸すぎる状態を指します。形が赤ちゃんのお尻に似ていることから、ベイビーズボトムと呼ばれているようです。
この形状のニブは非常に滑らかな書き心地になります。
その反面、紙に接している部分が丸みを帯びて広がっているせいで、インクフローが途切れてしまう(毛細管現象が最後まで持続しない)こともあります。これはハードスタートや掠れの原因となります。
ニブにはスイートスポットという、一番気持ちよくかける場所が存在しています。(個体差もありますし、人によって感じ方は違います。)
ベイビーズボトムであっても、スイートスポットは存在しているはずなので、ニブの調整をする前にどこが一番うまく書けるか探してみるのもいい思います。
長く使い続けることで、その人の書き癖に合ったスイートスポットができることもあります。
ま
や
ら
レイルローディング、railroading
画像のように書いた線や文字の中が空白になってしまうことです(右から三番目の線、濃い青色の上の細い二本の線)。ちょうど線路のように見えることからこう呼ばれています。原因はニブが強い筆圧で広がり、それにインクフローが追い付かなくなってしまったり、毛細管現象が起きずにインクが正常に流れなくなったりすることなどが挙げられます。
軟調ニブ、フレックスニブによく見られる現象です。
リバースライティング、reverse writing、flip writing
通常の筆記ではペン芯側が下になりますが、リバースライティングではペン芯側を上に、ニブ側を下にして書きます。リバースライティングをすると、字幅は通常時よりも細めになります(中字なら細字か極細くらい)。
使いどころは様々です。細かく書きたいときにも使えますし、ウェットな万年筆で裏抜けを避けるためにも使えます。
これによってニブが壊れてしまうことはありませんが、それはあくまで筆圧をかけずに使った場合の話です。筆圧が強め、高めの方は注意して使用してください。
呼び方は上記以外にも、reverse nib、flipping writing、flip nibなど色々あります。
わ
英数字
Armando Simoni Club、ASC
Armando Simoni Clubはアルマンドシモーニクラブと読みます。ASCと省略されて書かれることが多いです。イタリアの老舗ブランドOMAS(オマス)が2016年に廃業した後、それを惜しんだ方々が残った資材を購入して復活させたブランドです。
詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
ASC公式ページ:https://ascpens.com/
EDC、Every Day Carry
redditやfountain pen networkで使われている略語です。「毎日持ち運んで使う」という意味です。Best EDC PenやMy EDC Penのような使い方をします。
g/m2、gsm、gm
g/m2は、面積1m2(平方メートル)当たりの用紙の重さを表したものです。また用紙の厚さを表すものとしても使われています。(一般的なコピー用紙は65g/m2前後です。)
用紙の薄さ、厚さが気になる方はg/m2を基準にして選んでみるといいかもしれません。
Inky TOD
fountain pen networkのInk Thoughtsで使われている略語です。Inky Thought Of Day、Inky Topic Of Day、Inky Thread Of Dayなどの頭文字から取られています。
インクについての日常的な疑問、そのとき思い浮かんだ疑問、昔から繰り返されている質問などの意味です。
スレッドタイトルの頭につけるタグのようなもので、主に初心者向けの情報(おすすめの万年筆、インク、用語、セオリー)につけられています。また慣れ親しんだ方も再確認できるように、という意図もあるようです。
このように検索や情報共有をしやすくするために利用されています。
NPD、New Pen Day
主にredditで使われている略語で「新しい万年筆を購入した、届いた、手に入れた」というような意味です。スレッドタイトルの頭についていることが多いです。
同じような単語にNID、VPDがあります。
Post、Posted、Unpost、Unposted
Post、Postedはキャップを尻軸(軸の後ろ)に挿すことです。Unpost、Unpostedはその逆で、キャップを尻軸に挿さないことです。キャップをポストして書く派、ポストしたほうがバランスが取れる、などの使い方をします。
Sailor 1911
セーラープロフィットシリーズの海外市場での名称です。1911Large、Full sizeはプロフィット21と同じです。1911Lと略されることもあります。
1911Standard、Medium、Mid sizeはプロフィットスタンダードと同じです。こちらは1911Sや1911Mと略されることもあります。ただしMediumについては中字のMと混同しやすいので注意してください。
若干紛らわしいプロフィットスタンダード21については、1911S with 21kなどのような表記にしているようです。
Sailor KOP、K.O.P.、King Of Pen、King Of Pens
セーラーキングプロフィットの海外市場での名称です。KOP 1911と書かれる場合もあります。プロフェッショナルギアのKOPモデルの場合は「Sailor KOP Pro Gear」「Professional Gear K.O.P.」のように、通常のKOPと混同しないような表記にしているようです。
Sailor Sapporo
セーラープロフェッショナルギアスリムミニの海外市場での名称です。これに対して、セーラープロフェッショナルギアスリムはSailor Professional Gear Sapporo、Pro Gear Sapporoという名称になっています。
といっても、普通に日本での名称のままSailor Professional Gear Slimと言っても通じます。
またプロフェッショナルギアは略してPGと書くこともあります。
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